農業経営学 講義シリーズ
Lecture 9  ·  2026年5月13日

農業経営における人的資源管理

農業就業者の減少と高齢化を起点に、法人経営の重要性と生産シェアの拡大、新規就農者の3区分、人的資源管理(HRM)の5要素を整理する。さらに日本農業法人協会554法人へのアンケートに基づく従業員離職率の規定要因を分析し、新・農業人フェア2011の就業希望者526名の意向調査までを、原典のデータに即して通読する。

基幹的農業従事者 農業法人 新規就農者 HRM 従業員離職率 就業意向
木南章 教授(東京大学大学院農学生命科学研究科) 2026年5月13日 全21ページ 人的資源管理
Contents
  1. 01. 人的資源をめぐる問題
  2. 02. 法人経営の重要性と生産シェア(表1)
  3. 03. 新規就農者の3区分(表2〜表4)
  4. 04. 人的資源管理(HRM)の課題と5要素
  5. 05. 離職率分析の方法とデータ
  6. 06. 従業員離職率の分布(表5)
  7. 07. 採用状況 ― 募集・経歴・資質(表6)
  8. 08. 従業員への方針と育成(表7)
  9. 09. 離職原因と採用評価(表8・表9)
  10. 10. 離職率への影響要因(表11)
  11. 11. 分析の結論
  12. 12. 就業希望者の意向(表12)
SECTION 01

人的資源をめぐる問題 ― 競争力・持続可能性と就業者の減少・高齢化

農業の競争力と持続可能性は、農業就業者の減少と高齢化と表裏の関係にある。経営規模の拡大やイノベーションを担う人材の確保が喫緊の課題である。

講義は「人的資源をめぐる問題」から始まる。基幹的農業従事者数と平均年齢(図1)、5年以内の後継者の確保状況別の経営体数(図2)が示され、就業構造の縮小と高齢化が確認される。

これを受けて、雇用者数(図3)と法人経営体数(図4)、経営耕地面積規模別の経営体数(図5、都府県)が取り上げられ、法人経営の重要性が導かれる。

農業の競争力と持続可能性 ⇔ 農業就業者の減少と高齢化
⇒ 経営規模の拡大やイノベーションを担う人材の確保が喫緊の課題
法人経営の重要性
図1〜図5(基幹的農業従事者数と平均年齢、後継者の確保状況別経営体数、雇用者数、法人経営体数、経営耕地面積規模別経営体数)は配布 PDF 上では画像のグラフとして掲載されており、本図解では数値を再現できない。各図の趣旨のみを記し、具体的な値は原資料を直接参照されたい。
出典:農業経営学 講義9「農業経営における人的資源管理」(木南章、2026年5月13日)p.2〜p.4(図1〜図5)。
SECTION 02

法人経営の重要性と生産シェア(表1)

農業法人の作付(栽培)面積・飼養頭羽数のシェアは、2005年から2020年にかけて大きく上昇している。とりわけ畜産部門で高く、経営体数のシェアに比して大幅に高い水準にある。

表1 ― 農業法人の作付(栽培)面積、飼養頭羽数シェア(単位:%)
耕種部門 2005 2020 畜産部門 2005 2020
2.316.0乳用牛12.937.7
麦類6.430.1肉牛25.851.0
豆類7.933.565.387.7
野菜類4.716.6採卵鶏80.294.2
果樹類2.25.8ブロイラー51.570.8
農業法人の生産規模シェアは、経営体数のシェアに比して大幅に高く、増加傾向にある。法人経営が農業生産で占める比重が高まっている。
出典:表1 は「令和3年度食料・農業・農村白書」pp.33–34 より作成(講義9 p.5)。
SECTION 03

新規就農者の3区分(表2〜表4)

新規就農者は、新規自営農業就農者・新規雇用就農者・新規参入者の3つに区分される。それぞれ定義が明確に分けられており、農業法人の人的資源管理では新規雇用就農者が中心的な対象となる。

新規自営農業就農者

農家世帯員で、調査期日前1年間の生活の主な状態が「学生」から「自営農業への従事が主」になった者、および「他に雇われて勤務が主」から「自営農業への従事が主」になった者。

新規雇用就農者

調査期日前1年間に新たに法人等に常雇い(年間7か月以上)として雇用されることにより農業に従事することとなった者(外国人研修生・外国人技能実習生、および雇用される直前の就業状態が農業従事者であった場合を除く)。

新規参入者

調査期日前1年間に土地や資金を独自に調達(相続・贈与等により親の農地を譲り受けた場合を除く)し、新たに農業経営を開始した経営の責任者および共同経営者。共同経営者とは、夫婦そろっての就農、または複数の新規就農者が法人を新設して共同経営を行う場合の、経営責任者の配偶者その他の共同経営者をいう。

表2「新規就農者数の推移」(出所:新規就農者調査 2023)図5「新規自営農業就農者・新規雇用就農者の特徴」表3「新規雇用者の就業状態別構成」(出所:新規就農者調査 2024)表4「新規参入者の特徴」は、配布 PDF 上では画像または抽出困難なレイアウトで掲載されており、本図解では内訳の数値を再現できない。表題・出所のみを示し、数値は原資料を直接参照されたい。
出典:講義9 p.6〜p.9(表2・表3・表4・図5)。表2 出所「新規就農者調査」2023、表3 出所「新規就農者調査」2024。
SECTION 04

人的資源管理(HRM)の課題と5要素

人的資源管理(HRM: Human Resource Management)とは、人材を重要な経営資源として位置付けたうえで、有効活用するための仕組みを構築し、運用することである。

人的資源管理(HRM: Human Resource Management)
人材を重要な経営資源として位置付けたうえで、有効活用するための仕組みを構築し、運用すること。
農業の競争力と持続可能性の向上には、安定的に新規就農者を獲得し、就農者の能力を発揮させ、人材を育成し、次世代の農業経営者を生み出していくことが必要。

企業における HRM を構成するシステム

社員区分・格付け

業務の種類および責任の大きさをもとに、管理上望ましい職種および階層を決定する。

採用・配置

必要な人材を社内外から獲得し、適切な仕事(部署・職位)に配置する。

教育・育成

人材の職務遂行能力の向上を図る。

人事評価

各人の働きぶりを適切に測定する。

報酬

各人の働きぶりに応じた処遇を行う。

出典:講義9 p.10「2.人的資源管理の課題」。
SECTION 05

離職率分析の方法とデータ

実態調査・計量分析

農業法人における人的資源管理の影響要因が成果変数に与える影響を計測する。成果変数は「従業員離職率」であり、㈳日本農業法人協会所属の農業法人を対象としたアンケート調査を用いる。

対象法人

1,708 法人
日本農業法人協会所属

回収法人数

554 法人
回収率 32.5%

有効回答

221 法人
分析対象

成果変数 ― 従業員離職率の定義

従業員離職率 = 調査時点前5年以内に雇用した正規社員のうち、調査時点前に離職した者の割合

農業法人における人的資源管理の影響要因が成果変数に与える影響を計測する。
㈳日本農業法人協会に所属する農業法人(1,708法人)の経営者を対象としたアンケート調査結果(全国新規就農相談センター(全国農業会議所)『農業法人における雇用に関する調査結果-平成19年度-』)。
回収法人数は554。回収率は32.5%。有効回答221法人。
参考論文:木南章・木南莉莉・古澤慎一(2011)「農業法人における人的資源管理の課題 ― 従業員離職率に関する分析 ―」『農業経営研究』49(1):13–21。 J-STAGE で読む / 調査出典:全国新規就農相談センター(全国農業会議所)『農業法人における雇用に関する調査結果-平成19年度-』(講義9 p.11)。
SECTION 06

従業員離職率の分布(表5)

離職率の分布をみると、離職率0の法人が15.0%を占める一方、離職率40%以上の法人が28.0%に達する。低離職率(0〜40%)が72.0%、高離職率(40〜100%)が28.0%という二分が、後の分析の軸になる。

表5 ― 従業員離職率の分布
離職率(%) 件数 構成比(%)
03715.0
0〜106827.6
10〜204217.1
20〜403012.2
40〜503514.2
50〜90208.1
90〜100145.7
0〜40(低離職率)17772.0
40〜100(高離職率)6928.0
全体246100.0
以降の表6〜表9 では、この分布をもとに法人を「低(離職率0〜40%)」と「高(離職率40〜100%)」に二分し、両群の回答を対比している。
出典:講義9 p.12(表5)。論文:木南・木南・古澤(2011)。
SECTION 07

採用状況 ― 募集理由・募集方法・経歴・資質(表6)

募集理由は労働力不足(62.2%)経営規模の拡大(58.5%)が大半を占める。採用時に重視する資質では農業に対する熱意(63.0%)が突出し、次いで長く働く可能性(47.2%)が続く。

各項目は「離職率 低/高/全体」の3列。数値は%。

表6 ― 農業法人における従業員の採用状況(単位:%)
項目 全体
従業員の募集理由(複数回答)
労働力不足62.162.362.2
経営規模の拡大59.356.558.5
新規部門の開始27.727.527.6
将来の経営継承24.933.327.2
販売対策の強化18.614.517.5
新技術の導入6.27.26.5
その他2.34.32.8
従業員の募集方法(複数選択)
ハローワーク43.550.745.5
「新・農業人フェア」等説明会15.833.320.7
口コミ22.015.920.3
農業高校・大学校への依頼22.04.317.1
自社のホームページ10.717.412.6
新規就農相談センター8.513.09.8
求人雑誌9.010.19.3
チラシ6.25.86.1
県や市町村の支援策1.71.41.6
農協0.60.00.4
その他4.02.93.7
従業員採用時に優先する経歴
新規学卒者29.418.826.4
就業経験者25.421.724.4
どちらとも言えない40.159.445.5
従業員採用時に重視する資質(2つまで選択)
農業に対する熱意61.068.163.0
長く働く可能性46.947.847.2
若さ17.511.615.9
役員になる可能性9.018.811.8
農業で独立する可能性6.213.08.1
農業経験6.211.67.7
社会経験8.51.46.5
経営を継承する可能性5.67.26.1
地元出身7.32.96.1
専門的技術3.45.84.1
特にこだわらない7.313.08.9
低離職率群と高離職率群の差に注目すると、「農業高校・大学校への依頼」は低22.0%/高4.3%「『新・農業人フェア』等説明会」は低15.8%/高33.3%と募集チャネルで対照的な傾向がみられる(原典は差の解釈までは明記していない)。
出典:講義9 p.13(表6)。論文:木南・木南・古澤(2011)。
SECTION 08

従業員への方針と育成(表7)

従業員に求める作業内容は他の従業員の指導(50.8%)専門的な技術・作業経験が必要な作業(44.7%)が上位を占める。育成方針では一般従業員のまま(42.3%)が最多だが、独立・後継者・共同経営者として育てる方針も一定割合ある。

各項目は「離職率 低/高/全体」の3列。数値は%。

表7 ― 農業法人の経営者の従業員に対する方針(単位:%)
項目 全体
従業員に求める作業内容(複数回答)
他の従業員の指導49.255.150.8
専門的な技術、作業経験が必要な作業42.949.344.7
経営を含めた法人代表のサポート24.339.128.5
短期間で覚えられるが、繰り返しの多い作業23.213.020.3
様々な作業がある13.626.117.1
短期間で覚えられるが、きつい作業がある16.97.214.2
その他1.70.01.2
従業員の育成方針
一般従業員のまま47.529.042.3
農業経営者として独立16.418.817.1
自分の経営の後継者14.718.815.9
共同経営者13.620.315.4
考えたことがない7.94.36.9
その他2.35.83.3
出典:講義9 p.14(表7)。論文:木南・木南・古澤(2011)。
SECTION 09

離職原因と採用評価(表8・表9)

離職原因は別の仕事に転職(45.1%)が最多で、仕事が合わない(31.3%)が続く。両項目は高離職率群で著しく高い(転職 低39.5%/高59.4%、合わない 低23.7%/高50.7%)。

表8 ― 離職した従業員の離職原因(複数回答、単位:%)
離職原因 全体
別の仕事に転職39.559.445.1
仕事が合わない23.750.731.3
健康上の理由17.517.417.5
勤務状況等の問題で解雇13.626.117.1
家族の問題15.314.515.0
独立して就農13.017.414.2
よくわからない13.013.013.0
高齢化6.22.95.3
その他7.35.86.9
表9 ― 従業員採用実績に対する評価(単位:%)
評価 全体
十分採用できた28.221.726.4
ほぼできた25.417.423.2
ある程度できた19.815.918.7
あまり採用できなかった5.613.07.7
ほとんど採用できなかった1.713.04.9
採用予定がなかった10.711.611.0
採用評価でも、「あまり/ほとんど採用できなかった」が高離職率群で高い(あまり 低5.6%/高13.0%、ほとんど 低1.7%/高13.0%)。採用充足の難しさと離職率の高さが併存する傾向がうかがえる(差の因果は原典では明示されていない)。
出典:講義9 p.15(表8・表9)。論文:木南・木南・古澤(2011)。
SECTION 10

離職率への影響要因(表11)

環境変数・待遇変数が、雇用のミスマッチ離職コストを介して離職率に及ぼす影響を整理する。多くの待遇変数は離職コストを高めることで離職率を低下(-)させる。

表11 ― 予想される離職率への影響
変数 雇用の
ミスマッチ
離職
コスト
離職率
への影響
環境変数
経営規模
従業員年齢
雇用環境影響度
待遇変数
就業規則・給与規定・定期昇給
労災保険
雇用保険・年金保険+/-
扶養手当・住宅手当・通勤手当
昇給制度の設定・退職金制度の設定
労働時間の設定・休日の設定

表中「―」は原典で空欄の項目。「+」は離職率を高める方向、「-」は低める方向、「+/-」は両方向の可能性を示す。

各変数のメカニズム(原典の説明)

規模

経営規模

大きいほど HRM のノウハウの蓄積が進むため、雇用のミスマッチが少ない。

年齢

従業員年齢

高いほど転職先を探すことが困難になるため、離職コストが高い。

環境

雇用環境影響度

高いほど雇用環境の変化による雇用の調整が必要となるため、雇用のミスマッチが多い。

待遇

待遇変数全体

労働条件の改善という点で雇用のミスマッチを減少させる。

保険

雇用保険・年金保険

従業員の離職時の保障となり、従業員の離職コストを低下させる。

雇用保険・年金保険以外の待遇変数

従業員が離職によって失う利益が大きいことを意味するため、従業員の離職コストを高める。

出典:講義9 p.16(表11)・p.17(各変数のメカニズム)。論文:木南・木南・古澤(2011)。
SECTION 11

分析の結論

分析は4点に集約される。待遇改善は離職率低下に効くが、それだけでは経営の持続的発展に不十分であり、経営者の育成・能力開発を含む HRM の強化が必要だと結論づけられる。

経営者・多様な人材の育成に課題

農業法人における HRM は、とくに経営者の育成と多様な人材の育成に関して改善が必要。

待遇改善だけでは不十分

従業員の待遇改善は、全体の離職率の低下には効果があるが、経営の持続的な発展という点では不十分。

能力向上の問題が離職率に影響

従業員のトレーニングにおいては、作業の強度などの問題よりも、従業員の能力向上の問題が離職率に影響している。

OJT 改善・能力開発による HRM 強化

OJT の改善、従業員の能力開発など、HRM の強化が必要である。

①農業法人における HRM は、とくに経営者の育成と多様な人材の育成に関して改善が必要。
②従業員の待遇改善は、全体の離職率の低下には効果があるが、経営の持続的な発展という点では不十分。
③従業員のトレーニングにおいては、作業の強度などの問題よりも、従業員の能力向上の問題が離職率に影響している。
OJT の改善、従業員の能力開発など、HRM の強化が必要である。
出典:講義9 p.18「結論」。論文:木南・木南・古澤(2011)。
SECTION 12

農業法人への就業希望者の意向(表12)

新・農業人フェア2011 / 526名

新規雇用就農者は非農家出身者の割合が高く、新規学卒者の割合が低い。農業や農村に関する知識・経験が少ない一方、農業以外の就業経験が多様である。有効な就農プロセスの確立には、就業希望者の意向把握が重要となる。

「新・農業人フェア2011」の東京・札幌・名古屋の3会場において、農業法人への就業を希望する者に対してアンケート調査(「農業法人への就業希望者の意向調査」)を実施し、526名から回答を得た。

新規雇用就農者:非農家出身者の割合が高い。新規学卒者の割合が低い。
⇒ 一般的に新規雇用就農者には、農業や農村に関する知識や経験が少ない一方で、農業以外の就業経験が多様。
有効な就農プロセスを確立するためには、雇用就農を希望する者の就農に関する意向を把握することが重要。
図6「農業法人へ就職したい理由」図7「就職先として優先したい項目(3つまで選択)」図8「希望する年収額」図9「希望する週当たり労働時間」は、配布 PDF 上では画像のグラフとして掲載されており、本図解では数値を再現できない。表題のみを示し、内訳は原資料を直接参照されたい。

就職に対する考え方 ― 年齢階層別クロス集計(表12)

数値は%。全体の回答者数=500。「大学生一般」は比較参照(出典は表下に記載)。

表12 ― 就職に対する考え方(クロス集計、単位:%)
区分 収入さえ
あればいい
楽しく
働きたい
自分の夢の
ために働きたい
個人の生活と
仕事を両立
プライドの
もてる仕事
人のために
なる仕事
出世
したい
社会に
貢献したい
全体(n=500)5.235.218.017.47.29.20.28.4
年齢階層
19歳以下0.050.041.70.00.00.00.08.3
20〜29歳以下1.339.917.713.910.89.50.08.9
30〜39歳以下5.433.612.821.57.412.80.07.4
40〜49歳以下10.230.622.217.62.88.30.08.3
50〜59歳以下7.427.820.425.99.35.60.03.7
60歳以上5.650.016.70.00.00.00.027.8
参照
大学生一般1.632.611.021.28.717.51.16.3
全体では「楽しく働きたい」(35.2%)が最も高く、「自分の夢のために働きたい」(18.0%)、「個人の生活と仕事を両立させたい」(17.4%)が続く。「収入さえあればいい」は5.2%、「出世したい」は0.2%と低い。
出典:講義9 p.19〜p.21(表12・図6〜図9)。表12 の「大学生一般」は「2012年卒マイコミ大学生就職意識調査」毎日コミュニケーションズ、2011 による(調査期間 2010年10月1日〜12月31日、2012年3月卒業見込みの大学3年生・大学院1年生 計10,768名による WEB 回答)。
本講義の要点 ― HRM と離職率分析

本講義は、農業就業者の減少・高齢化を起点に法人経営の重要性を確認し(表1)、新規就農者を3区分で整理したうえで、人的資源管理(HRM)を「人材を重要な経営資源として有効活用する仕組みの構築・運用」と定義する。

日本農業法人協会1,708法人へのアンケート(回収554、有効221)に基づく分析からは、待遇改善が離職率低下に効く一方、それだけでは経営の持続的発展には不十分であり、作業強度よりも従業員の能力向上の問題が離職率に影響すること、そして経営者の育成と OJT・能力開発を含む HRM の強化が必要であることが示された。

就業希望者526名の意向調査では、就職観として「楽しく働きたい」が最も高く(全体35.2%)、「収入さえあればいい」は低い(5.2%)。非農家出身・多様な就業経験を持つ雇用就農希望者の意向把握が、有効な就農プロセス設計の前提となる。

木南章・木南莉莉・古澤慎一(2011)「農業法人における人的資源管理の課題 ― 従業員離職率に関する分析 ―」『農業経営研究』49(1):13–21.
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