農業経営学 講義シリーズ
Lecture 4  ·  2026年4月20日

農業経営の持続可能性(その1)環境性

農業は本来、物質循環を基本とし、環境との調和なしには生産活動を長期的に持続できない。農業経営の持続可能性を経済性・社会性・環境性の3側面から捉え、環境保全型農業の類型と栽培方法の定義、ISO14001による環境マネジメントシステムと農業分野での導入事例、そしてバイオマスの種類と利活用までを学ぶ。

持続可能性 環境性 環境保全型農業 有機農業 ISO14001 バイオマス
木南章 教授(東京大学大学院農学生命科学研究科) 2026年4月20日 全38ページ 持続可能性・環境性
Contents
  1. 01. 環境性 ― 農業と環境の関係
  2. 02. 持続可能性の3側面
  3. 03. 環境保全型農業とは
  4. 04. 環境保全型農業の類型(表)
  5. 05. 栽培方法の定義
  6. 06. 有機農業とオーガニックビレッジ
  7. 07. ISO14001 ― 環境マネジメント
  8. 08. 農業分野のISO14001 5タイプ
  9. 09. 導入事例(A・B・Cタイプ)
  10. 10. ISO14001導入の課題
  11. 11. バイオマスの利活用
SECTION 01

環境性 ― 農業は地球環境にとってどのような存在か

農業は本来、物質循環を基本とし、環境との調和なしには生産活動を長期的に持続できない。同時に国土・環境保全といった多面的・公益的機能をもち、その機能は適切な生産活動を通じて維持される。

農業の特性:本来、物質循環を基本とし、環境との調和なしには生産活動を長期的に持続させることができない。
国土・環境保全といった多面的・公益的機能を有しており、これらの機能は適切な生産活動を通じて維持されている。

しかし、肥料や農薬の不適切な使用、畜産廃棄物の不適切な処理によって、河川・湖沼・地下水の汚染を引き起こしている事例もみられる。

こうした負の側面を踏まえ、環境保全型農業の推進バイオマスの利活用が求められている。
Professor Note

講義では「農業は地球環境にとってどのような存在か?」という問いが立てられ、その一例として畜産の環境負荷に関する問題が紹介されている。

参照(畜産の環境負荷の例):Kip Anderson, Keegan Kuhn (2014) Cowspiracy: The Sustainability Secret(サステイナビリティ=持続可能性の秘密)。原典 p.2 で言及。
SECTION 02

農業経営の持続可能性 ― 経済性・社会性・環境性の3側面

農業経営の持続可能性は、経済性・社会性・環境性の3つの側面から捉えられる。それぞれが「経営内部」と「経営外部」の両面をもつ。

Pillar 01

経済性

経営内部 / 社会経済
  • 食料の安定供給
  • 農法 など
Pillar 02

社会性

経営内部 / 地域社会
  • 食品安全性
  • 環境教育 など
Pillar 03

環境性

経営内部 / 地域環境
  • 本講義の主題
  • 環境負荷の軽減・物質循環
原典 p.3 の関係図について:原典では3側面を「農業経営の持続可能性」を中心に配置した概念図で示している。各側面のキーワード(経済性=食料の安定供給/農法、社会性=食品安全性・環境教育、環境性)と「経営内部・社会経済・地域社会・地域環境」の対応のみがテキストとして抽出可能であり、図そのものの正確な配置・矢印は原典 p.3 を参照のこと。
SECTION 03

環境保全型農業とは ― 物質循環機能を生かす持続的農業

環境保全型農業とは、農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和などに留意しつつ、環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業のことである。

環境保全型農業に取り組む農業経営体
828,753 戸
農業経営体の 49.4%(2010年農林業センサス)

取り組みの内容(環境負荷の軽減の方向)

取り組みの程度には幅がある。原典では次の段階的・並列的な取り組みが挙げられている。

環境保全型農業の取り組み内容(原典 p.4)
区分内容
既存技術の活用 土づくりなど既存の技術を活用して、可能な範囲で化学肥料・農薬を節減することなどにより環境負荷を軽減する。
新技術・資材 リサイクルの推進、施肥・防除基準の見直し、新技術・資材の活用の推進などにより一層環境負荷を軽減する。
消費者ニーズ対応 環境負荷の軽減と同時に消費者の食の安全性に対するニーズに対応して、減化学肥料・減農薬・無化学肥料・無農薬などの栽培方法を導入する。
有機農産物 JAS法に基づく有機農産物の栽培。
環境マネジメント 環境マネジメントの国際環境規格である ISO14001 の認証。
これらの取り組みの程度には幅がある。化学肥料・農薬の節減から有機栽培・国際認証まで、強度の異なる選択肢が並列している。

環境保全型農業のための具体的な技術

たい肥による土づくり 田畑輪換・合理的な作付体系 局所施肥技術の利用 肥効調節型肥料の施用 フェロモン剤の利用 天敵昆虫・微生物・対抗植物の利用 施肥基準・防除基準の見直し 未利用有機資源の有効活用 発生予察と迅速な情報伝達に基づく防除 抵抗性品種の導入 除草用動物・機械の利用 被覆栽培 など
個別具体的に展開されている環境保全型農業:地域の気候・地形・土壌・水などの自然環境や、交通・都市化・風土などの経済・社会・文化環境などに応じて、さまざまな形態をとる。
SECTION 04

環境保全型農業の類型 ― 条件と根拠で整理する

環境保全型農業は、減農薬・減化学肥料・無農薬・無化学肥料・有機・エコファーマー・地方自治体の認証・ISO14001 といった類型に整理できる。それぞれ条件・根拠・農業経営数が異なる。

表 環境保全型農業の類型(原典 p.6)
類型 農業経営数 条件 根拠 備考
減農薬栽培 337,715 農薬使用量が栽培期間中、慣行の50%以下。 特別栽培農産物に係る表示ガイドライン
減化学肥料栽培 314,215 化学肥料使用量が栽培期間中、慣行の50%以下。 特別栽培農産物に係る表示ガイドライン
無農薬栽培 26,789 農薬を栽培期間中に使用しない。 特別栽培農産物に係る表示ガイドライン
無化学肥料栽培 32,053 化学肥料を栽培期間中に使用しない。 特別栽培農産物に係る表示ガイドライン
有機栽培
(JAS認証)
3,732 有機農産物等の登録認定機関による認定を受ける。播種の2年以上前から無農薬・無化学肥料等。 農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)、有機農産物の日本農林規格 「有機」名称が使用可。現在、畜産物・水産物は対象外。
エコファーマー 83,767 都道府県知事に「持続性の高い農業生産方式の導入に関する計画」を提出し認定を受ける。 持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律 農業改良資金や税制上の優遇措置がある。
地方自治体の認証 地方自治体の設ける制度による。 地方自治体による条例など
ISO14001 約100 環境マネジメントシステムを構築し、審査登録機関の認証を受ける。 国際規格
注)減農薬栽培・無農薬栽培・減化学肥料栽培・無化学肥料栽培の農業経営数は、2000年農林業センサスによる。有機栽培の農業経営数は、2018年3月末時点の、国内の認定生産行程管理者である農家数(農林水産省による)。エコファーマーの農業経営数は、2020年3月末時点の数値(農林水産省による)。
出典:原典 p.6。
件数で見ると減農薬・減化学肥料栽培が突出して多く、有機栽培(JAS認証)は 3,732 と最も少ない。取り組みの強度が上がるほど経営体数は絞られる構造になっている。
SECTION 05

栽培方法の定義 ― 有機・特別・エコ・慣行

農産物の栽培方法は、化学肥料・化学合成農薬の使用度合いによって 有機栽培等・特別栽培・エコファーマー・慣行栽培 に区分される。

有機栽培等

有機JAS認定を受けた農産物、及び、有機JAS認定は受けていないが化学肥料及び化学合成農薬を使用せず行う栽培方法。

特別栽培

化学肥料と化学合成農薬の使用について、地域における慣行的な使用量に比べ、5割以上低減した栽培方法。

エコファーマー

土づくり、化学肥料と化学合成農薬の使用低減技術の導入に一体的に取り組む計画を作成し、都道府県知事から認定を受けた農業者。

慣行栽培

化学肥料と化学合成農薬の使用について、地域における慣行的な使用量による栽培方法。

原典 p.7「図 農産物の栽培方法」について:原典では上記4区分の関係を図で示している。図そのものの正確な配置・面積比は原典 p.7 を参照のこと。資料:平成27年度 農林水産情報交流ネットワーク事業 全国調査「有機農業を含む環境に配慮した農産物に関する意識・意向調査」(農林水産省)。
原典 p.8〜p.13 について:これらのページは図表・グラフ画像のみで構成され、テキストを抽出できなかった。本図解では内容を創作で補わない。当該データ・グラフは原典 p.8〜p.13 を直接参照のこと。
SECTION 06

有機農業とオーガニックビレッジ ― 地域ぐるみの取り組みへ

有機農業は法律で定義されており、近年はその拡大を地域ぐるみで進める「オーガニックビレッジ」の取り組みが進められている。

有機農業の推進に関する法律 ― 「有機農業」の定義

有機農業」とは、化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと、並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業。
出典:有機農業の推進に関する法律(原典 p.14)。
原典 p.15〜p.20 について:これらのページは図表・グラフ・写真などの画像のみで構成され、テキストを抽出できなかった。本図解では内容を創作で補わない。当該資料は原典 p.15〜p.20 を直接参照のこと。

オーガニックビレッジ

オーガニックビレッジとは

有機農業の拡大に向けて、ほ場の団地化などの生産から学校給食の利用など消費まで一貫した取組を、農業者・事業者・地域内外の住民などの関係者が参画の下、地域ぐるみで進める市町村

出典:原典 p.21。
原典 p.22 について:このページは画像のみで構成され、テキストを抽出できなかった。内容は原典 p.22 を直接参照のこと。
SECTION 07

ISO14001 ― 環境マネジメントシステムの国際規格

ISO14001 は、環境負荷の低減といった環境パフォーマンスの改善を実施する仕組みが継続的に運用されるシステム(環境マネジメントシステム)の規格である(1996年に発行)。

組織活動、製品およびサービスの環境負荷の低減といった環境パフォーマンスの改善を実施する仕組みが継続的に運用されるシステム(環境マネジメントシステム)の規格(1996年に発行)。

組織が自ら環境方針および目的を定め、その実現のための計画を立て、それを実施および運用し、その結果を点検および是正し、さらに次のステップを目指した見直しを行うという PDCAサイクル を確立する。

環境マネジメントシステムを継続的に向上させ、環境に与える有害な負荷を減少させることがねらいである。

Plan → Do → Check → Act。環境方針・目的の設定 → 計画 → 実施・運用 → 点検・是正 → 見直し、を繰り返してシステムを継続的に向上させる。

規格の性格と認証取得の利点

ISO14001 には法的拘束力は無く、環境活動に関する具体的な数値等ではなく、各組織が自ら定めた環境方針を経済的・技術的に可能な範囲内で達成することによって、各々の方法で環境負荷の低減に取り組む。

組織内部における利点

  • 潜在的なリスク回避
  • 環境に対する従業員の意識の向上
  • コストダウン
  • 責任・権限関係の明確化
  • 組織の透明性の向上

組織外部における利点

  • 企業のイメージアップ
  • 社会的信用の向上
  • マーケットシェアの拡大
  • グリーン調達への対応
出典:原典 p.23〜p.24。
SECTION 08

農業分野におけるISO14001の導入 ― 5つのタイプ

農業分野でのISO14001導入は、経営の主業が何かによって A〜Eの5タイプ に分類される。

A

農業を主業としている経営

いずれも法人経営であり、事業規模が大きく、園芸・畜産が多い。

B

食品製造業

農業以外を主業としている経営のうち、食品製造業。直営の農業生産部門での実施、または原材料調達先農家との契約・指導の形をとる。

C

その他の農業関連産業

農業以外を主業としている経営のうち、その他の農業関連産業。農業資材製造業・造園業などが中心。

D

非農業関連産業

農業部門への参入を図り、主業部門とともに認証を受けている。主業部門は様々だが、農業部門は施設園芸が中心。

E

農業関係団体

農業協同組合は、組織活動における環境負荷の軽減にとどまらず、組合員農家への営農指導事業の中で、農薬・化学肥料等の使用量削減や有機無農薬栽培を推進する環境マネジメントシステムを提供。地方公共団体も農業振興策の一環として推進するケースがある。

出典:原典 p.24(タイプ区分)、p.30(D・Eタイプの説明)。
SECTION 09

ISO14001の導入事例 ― A・B・Cタイプと農業関係団体

各タイプの実例を見ると、ISO14001導入の背景・取り組み内容・効果が具体的に理解できる。

Aタイプ ― 農業を主業とする経営

有限会社アトップ

静岡県浜松市

1984年に農家4戸が営農組合として設立(1986年に法人化)。83haに3種類の葉ネギを周年栽培し、年間約700tを生産する企業的経営。農産物生産を行う企業の中で、最も早くにISO14001の認証を取得した。

静岡県農林水産部および静岡県農業協同組合中央会が、農業法人に対してISO14001の導入を検討。静岡県の特産品であるお茶が、JAS法の改正により有機認証が困難となり、有機認証以外の環境保全をアピールする認証を検討してISO14001に注目。そのモデルケースとしてアトップへ働きかけた。

立地条件として、海岸近くの砂地に立地している圃場が多く、保水力が弱く肥料が流出しやすいという土壌の問題を抱えていたため、従来より土壌改良や環境への配慮に力を入れていたことも背景にある。

経営理念・環境方針

自然環境に配慮し農業を通じて社会貢献をすることを掲げ、環境方針として、地球に優しい農業を実践して自然の恩恵に感謝する心を常とし、安全で新鮮な葉葱を供給するとともに、持続可能な農業経営を目指す。

環境マネジメント・プログラム
  • 施肥量(とくに窒素)の削減、化学農薬の使用量の削減
  • 不良ネギ発生量の低減(製品率の向上)
  • 廃棄物発生量(とくに廃ビニール)の削減、堆肥による悪臭の低減
  • 商品化作業での残渣低減、残渣処理における悪臭の低減・景観の改善
  • 出荷資材の低減、出荷機器による騒音の低減
ISO14001導入の効果
  • 組織外部:農産物販売の取引単位の拡大、契約の安定化、社会的信用の向上。新規取引先も拡大しマーケットシェアも拡大。テレビ・新聞・雑誌に取り上げられ、視察や講演の依頼など企業のイメージアップ。
  • 組織内部:従業員の環境に対する意識の向上、責任・権限の明確化、コストダウン、潜在的リスクの解消。
出典:原典 p.25〜p.26。
Bタイプ ― 食品製造業

サントリー株式会社 登美の丘ワイナリー

山梨県甲斐市

Bタイプには、①直営の農業生産部門で環境保全型農業を実施するケース、②原材料調達先の農家と契約を結び、環境保全型農業の指導・推進を行うケースがある。

1997年に制定した「サントリー環境基本方針」に基づき、製品開発・生産・販売・ロジスティクスという各活動領域で積極的に環境課題に取り組む。生産工程における環境負荷低減を一層推進するため、洋酒・ビール・ワイン・清涼飲料の工場においてISO14001の認証取得を進めており、登美の丘ワイナリーの認証取得は9番目。

ニュージーランドでは、農業部門におけるISO14001導入の中心的役割を果たしてきたのがワイナリーであり、原材料の調達面から環境保全型農業の推進を目指す点で共通している。

廃棄物の減量化・場内での再資源化を重視
  • 廃棄物の再資源化率:2000年末に100%
  • 廃棄物の減量化を目指し、ワイナリー場内での再資源化・再利用率(場内ゼロエミッション化率)向上を図る
  • ブドウ畑で排出される剪定枝や醸造時に排出されるブドウの絞り粕、酵母などの澱粕を堆肥化する方法を確立
  • 堆肥を再びブドウ畑へ還元する循環型農業を推進し、場内から出る廃棄物を減量
  • 事務所やレストランなどから排出される生ごみも堆肥化。廃棄物の分別徹底による減量化を推進
その他の対策

自然環境の保護(ワイナリー内の生物の種類の調査、ワイナリー周辺地域の清掃活動、場内に桜の木を植樹し緑地維持)、省エネルギー化・省資源化、グリーン購入の推進。

出典:原典 p.27〜p.28。
Cタイプ ― その他の農業関連産業

有限会社イケダグリーン

三重県 / 造園業

Cタイプは農業資材製造業・造園業などの事業を行っているものが中心。農業資材製造業は、減農薬栽培・減化学肥料栽培を推進するための農業資材の生産が中心で、農産物といっても天敵生物などが多い。造園業は緑化植物の生産・販売を行うものが多い。

イケダグリーンのISO14001認証取得は、新規事業としての無農薬農産物生産販売事業の立ち上げと関係がある。

  • 造園事業で発生する廃棄物などのリサイクル化を進めており、刈芝・剪定枝葉を全量堆肥化し、農地に施用して農産物の無農薬栽培を実施
  • 農地の無農薬状態を継続し、有機栽培の米と野菜の供給を行う
出典:原典 p.29。
Eタイプ ― 農業関係団体・地方公共団体

高知県の取り組み

高知県 / 生産から流通までのチェーン化

ISO14001によって環境に優しい農業を進め、特徴ある産地づくりを行うため、生産から流通の各段階での認証取得を推進。農家のみならず、農産物の販売を行う高知県園芸農業協同組合連合会、農産物の輸送を行う高知通運株式会社・四国運輸株式会社もISO14001の認証を取得し、生産から販売・流通の各段階をISO14001の取り組みでチェーン化した。

農家のISO14001認証取得は、高知県環境保全型畑作振興センター(現・高知県立農業担い手育成センター、以下「センター」)が中心となり、生産現場での環境マネジメントシステムの構築・運用を進め、2002年に同センターの認証範囲を拡大する形で参加農家の認証取得を実現した。

体制
  • 全体組織は、センター(11名)と9つの農家組織(のべ336名)から構成
  • 各農家組織をセンターの環境マネジメントシステム実践組織として位置づけ、各組織に環境管理責任者を配置
  • 各環境管理責任者を統括する形でセンターに統括環境管理責任者を配置し、センターが直接システムの運用等を管理
出典:原典 p.31。
SECTION 10

ISO14001による環境マネジメントシステム確立の課題

ISO14001の確立には、コスト効果団体/公共の役割 という3つの課題がある。

1

認証取得のコスト

認証取得には、時間・人材・資金・設備投資・情報などが必要。審査・登録に約300万円が必要で、農家経営では負担が困難。認証の有効期限は3年であるため、3年ごとの更新が必要。

2

認証取得の効果

マーケティング上の有効な差別化戦略となりうるか疑問。消費者での知名度が必ずしも高くない。そのため、ISO14001の認証を取得し、なおかつ有機JAS認証を取得する事例も見られる。環境保全に関わる様々な制度があるため、ISO14001自体の効果が発現しにくい状況がある。

3

農業協同組合および地方公共団体の役割

個別の農業経営だけでは対応しきれない問題を克服するうえで、農業協同組合および地方公共団体の役割は大きい。ISO14001の普及・推進だけではなく、農業協同組合および地方公共団体が認証獲得の主体となり、周辺農家に認証対象を拡大するという手法が用いられており、効果をあげている。

審査・登録に必要なコスト
約 300 万円
農家経営では負担が困難。さらに認証の有効期限は 3年 で、3年ごとの更新が必要。
出典:原典 p.32。
SECTION 11

バイオマスの利活用 ― 再生可能な生物由来資源

バイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)を表す概念。一般的には「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」を指す。

バイオマス:生物資源(bio)の量(mass)を表す概念。一般的には「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」。
バイオマスの特質:再生可能、カーボンニュートラル。

バイオマスの種類

Type 01

廃棄物系バイオマス

廃棄される紙、家畜排せつ物・食品廃棄物・建設発生木材・製材工場残材・黒液(パルプ工場廃液)・下水汚泥・し尿汚泥。

Type 02

未利用バイオマス

稲わら・麦わら・もみ殻・林地残材(間伐材、被害木 等)。

Type 03

資源作物

さとうきびやトウモロコシなどの糖質系作物や、なたねなどの油糧作物。

日本におけるバイオマスの種類ごとの利用状況

種類別の利用状況(原典 p.34)
種類利用状況
廃棄物系バイオマス 経済性等の観点から、利活用が進められている。
未利用バイオマス 家庭系生ごみ、農作物非食用部、林地残材などの有効利用は不十分。
資源作物 現時点では少ない。菜の花を栽培して食用油として利用した後、収集してバイオディーゼル燃料の原料として利活用する取組みを進めている地域や、さとうきびなどを原料にバイオエタノールを製造して自動車用の燃料に利活用する実証試験が行われている。

バイオマスの発生量・利用量の動向

廃棄物の削減によって、バイオマスの発生量は減少傾向。一方、バイオマスの利用率は向上し、利用量は増加傾向にある。

食品廃棄物・農作物非食用部・林地残材の利用率は相対的に低い。(原典 p.35)
原典 p.36「バイオマス産業都市」について:このページは見出しと図表画像のみで、本文テキストは抽出できなかった。同様に p.37・p.38 も画像(ページ番号のみ)であり、本図解では内容を創作で補わない。当該資料は原典 p.36〜p.38 を直接参照のこと。
バイオマスは再生可能カーボンニュートラル。環境保全型農業・ISO14001による環境マネジメントと並び、農業経営の環境性(持続可能性)を支える柱である。